帯留めとは
帯留めとは
帯締めに通して使う着物用のアクセサリーです。見た目はベルトのバックルのよう。
帯締めや帯揚げは帯を固定する為の実用品ですが、帯留めはあくまでアクセサリーですので、ぶっちゃけると無くても着物姿は成立します。でも季節のモチーフを身に付けて季節感を表現したり、帯や着物の柄を引き立たせる小道具としての楽しみがあり、なおかつちょっと着物通に見えるお得なアイテムでもあるのです。
帯留めを使ってみよう
帯留めを付ける為の帯締めとして三分紐という紐を使います。通常の帯締めが四分(約12mm)なのに対し、三分(約9mm)と細く、長さも1.2mと短めです。
ただ、当店の帯留めの金具は広めなので、通常の帯締めでも通ります。また必ず三分紐でなければならないという決まりがあるわけではありません。どうしても普通の帯締めを使いたいという場合には、後述のお役立ち技あれこれをご覧下さい。
※ご質問頂く中に、「紐はセットでしょうか?」と言うご質問があるのですが、FourSeasonの帯留めは三分紐とのセット販売の物はありません。帯留め単体の販売です。
結び方は普通の帯締めと変わりません。あらかじめ三分紐に帯留めを通しておき、普通の帯締めと同じように本結びで結びましょう。
結んで余った紐は蝶々結びやお団子状にまとめておきます。三分紐を締める便利グッズも和装のウェブショップ等で売られています。結び目は後ろに回し、お太鼓の中に隠します。
帯留めを体の中心にもってきます。これで完成です!!
※画像 「小さいクローバーの帯留め 玉虫水色×赤紫」はこちら
アレンジいろいろ
カジュアルなお出かけでしたら三分紐の代用として他の紐を使ってもいいと思います。私の場合ですと
- シューレース(スポーツ品店で入手可能。和装小物にはない色・柄があり、丈夫)
- チロリアンテープやリボン(手芸店で入手可能。洋服風のコーディネートの時に)
- 綾竹コード(手芸店で入手可能。見た目が三分紐に似ている。生地が薄いので2本重ねが無難)
帯を支えるだけの強度があり、幅9mm前後があれば、色々試してみてください。また、半幅帯でも帯締め・帯留めを使うとちょっと改まった感じになります。結び方は割り角出し・カルタ結びなどがオススメです。
画像は手芸店でも売っている丸くけの紐に帯留を通してチョーカーとして使用しています。着物を着ない時にも色々使ってみてください。
帯留めのTPO
着物のTPOと同じように、帯留めにもTPOがあります。
まず、お茶席では帯留はNGです。帯留のみならず、お茶席では茶器を傷つけないように、指輪・腕時計にいたるまでアクセサリーはつけません。冠婚葬祭では、判断が分かれると思います。
帯留めはあくまで趣味的なもので、礼装には付けないとされる方も多くいらっしゃいます。
私の主観ですと、5大宝石(ダイヤ・ルビー・サファイヤ・エメラルド・真珠)の帯留でしたら、結婚式のゲストでお越しの時などはOKだと思います。でもご自身が親族側で出席されるときは付けないほうが無難ではないかと思います。
フォーマルな場所ではNGの場合も多い帯留め。でも普段の生活において圧倒的に多いのはカジュアルな場所です。堅苦しく考えず、気軽に着けてみてはいかがでしょうか。
お役立ち技あれこれ
売っている帯留めだけでなく、自分で作るのもアリです。
小さめの箸置き、片方落としてなくしたイヤリング、綺麗なボタンなど何でもかまいません。
帯留め金具はアクセサリーの材料のお店で入手できます。裏が平らなものでしたら、帯留め金具にボンドで貼り付けるだけで即、帯留めの完成です!
手作りされる方でしたら、粘土や押し絵等の作品を貼り付ければ、世界に一つだけのオリジナルの帯留めを作ることが出来ます。
ブローチ金具が縦についてる場合は三分紐を通してそのまま帯留として使うことが出来ます。
でも横向きについてるブローチはどうすればいいの?というときのお役立ち技をまとめました。
-
- 方法その1 正攻法編
ブローチを帯留めとして使える便利グッズがあります。和装小物のお店で入手可能です。
上部のパイプの部分にブローチのピンを通し、固定します。
帯留金具に三分紐を通せばそのまま帯留として使えます。短所としては
・ブローチの種類によってはぱかぱか動くこと
・ブローチの針の位置によっては金具が見えてしまうことです。
サイズがありますので、ブローチの針の長さに合ったものを何種類かお求めになるといいでしょう。
-
- 方法その2 リーズナブル編
髪ゴムを使います。100均などでも入手できるSサイズの平ゴムがおすすめです。
三分紐のブローチを付けたい位置に2箇所ゴムを巻きます。ゴムの部分にピンを通せば・・・
三分紐にブローチが固定されます!重いブローチのときは3箇所くらいゴムを巻いておくとより安心です。
アンティークの帯留は通し穴が小さいものが多いです。せっかく手に入れたのに紐が通らなくて使えない・・・というときのお役立ち技です。
髪ゴムを使います。髪ゴムは長さを調節できるように、輪っかではなく巻きで売っているタイプがいいでしょう。ゴムを帯留金具に通し、三分紐に引っ掛けて結びます。結び目は裏側に隠すといいでしょう。
裏から見た感じです。重い帯留めの場合はゴムを2本どりにするとよりしっかり固定されます!帯留金具の幅に合わせて長さの違う結んだゴムを作っておくと、いざお出かけという時に慌てないで済みます。
応用編
上記の方法を応用すれば、そもそも三分紐でなくても帯留と一緒に使うことが出来ます!「この帯締めのほうが帯留に色が合うのに、何とか使えないかしら・・・」という時、お試ししてください。
写真の帯締めはアンティークのものです。アンティークの帯締めは凝った色柄のものが沢山ありますが、現代の帯締めに比べて太めのものが多く、帯留めには使えません。
でもこの方法を使えば一発解決です。またアンティークの帯締めは丈が短いので、短くて使いにくいという方は、是非帯留用として活用してみてください!
※画像 「月に兎帯留 大きな月」はこちら
帯留の歴史
帯留の歴史は、実はそんなに長くありません。時代劇などを見ていてお気付きだと思いますが、江戸時代前期~中期には帯締めが使われていませんでした。帯締めがないので当然帯留もありませんでした。その後帯幅がだんだん長くなり、帯を固定する為の実用品として帯締めが使われ始めました。
その後明治になり廃刀令が出されると、刀の鍔や目貫の細工を作っていた職人たちが職を失い、彫金の技術を活かして帯締めに飾りをつけることを考案したのが帯留の始まりです。最初はバックルのように帯を固定する実用品であった帯留は、どんどん装飾品としての性質が強くなり、それにつれ様々な素材で作られるようになりました。
まとめ
着物は四季の移ろいを色や柄で表現することが出来る衣装です。でも、1年中着物を着ていた昔と違い、季節や行事に合わせて何十もの着物をお誂えできる方は一握りです。でも、帯留めでしたらどなたでも気軽にチャレンジできると思うのです。収納だってアクセサリーと同じで場所も取りません。
例えば無地・縞・格子といった季節感のないコーデでも、そこに桜の帯留を一つ追加するだけで春を感じることが出来ます。「猫が好き」「音楽が好き」といった自分の「好き」を帯留で表現する事だって出来る、とってもお得なアイテムです。
着物をお召しになるときに、是非帯留めを取り入れてみませんか。